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ゲリラ雪

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下道(かどう)会総裁が「よしなしごと」をゲリラ雪のように、書くときは大量に、書かないときは放置気味に記します

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補足旅余話 バス旅本への道9終 

吉原から再び東海道線に乗り、三島へ。雨は相変わらずですが、伊豆の観光地への玄関口ということもあり駅舎内は結構にぎわっています。


元箱根行きのバスを降りて、いい景色が撮れる場所まで歩くつもりだったのでコインロッカーに旅行カバンを預けました。バスまで時間があるのでジョージアのエスプレッソを飲み、伊豆箱根鉄道駅前の灰皿で一服。定刻になり、元箱根行きがやってきました。あの人とは違う、オレンジと黄色の東海バスカラーの中型車です。


あわよくば車内からも写真を撮ろうと後ろの方の席をゲット。さてと窓を見ると…くもりきって擦りガラス状態! 手で拭いてもあまり見えるようになりません。そう、ここで根本的なことに気付きました。


雨の中、駿河湾や三島の街が見渡せるのか?


一瞬思考が完全に止まりました。


でも来ちゃったし。広島から来るの大変だし。


済美の校歌じゃありませんが「魔法の言葉」ですな。これって。(注釈・2004年のセンバツで初出場初優勝を果たした愛媛県の済美高の校歌には「『やればできる』は魔法の言葉」というフレーズがある。とかく懐古調が多い校歌の中で異彩を放っており、当時「魔法の言葉」というフレーズはネットで話題になった)


4、5人ほどが乗り発車。信号のたびに引っかかり市街地を出るのに手こずりましたが、三嶋大社(バス旅の時は知りませんでしたが、静岡県の初詣名所だそうです)を過ぎ、緑ヶ丘で国道1号に合流すると一気にエンジンを噴かします。


街道松を右手に見やり、富士見ヶ丘から旧道へ。バス旅の時はここで三島の街並みが臨めたのですが、完全に視界ゼロです。馬坂口で再び新道に合流しても同じ。絶望的な気分の中、見晴学園前で降りました。




あれ? 確かここらへんからふもとを見下ろせたような。しまった、もうちょっと上だったか…。しかし先へ行こうにも次のバスは1時間後までありません。事前の調べでは三島駅へ戻るバスが間もなくやってきます。どうしよう。うーん…ウジウジ悩んでいたら、三島駅行きが勢いよく坂を下っていきました。これで行くも戻るも1時間待たなければならなくなりました。


雨風が強くなってきました。とりあえず見晴学園以外何もないこの場所に長居するのは得策ではなさそう。旧道から合流した馬坂口から先は結構停留所の間隔が空いていましたが、バス旅の記憶ではここから上はもっとバス停間が離れていた気がします。ならばと下ることにしました。結果的に判断ミスでしたが…


なかなか人家がありませんが、そこは天下の国道1号。自転車やウオーキングの人もいるからか、大体歩道が付いています。「これなら歩くのにそんなに苦労しないかも」と最初は思いましたが、そうは問屋がおろさなかった。


雨が横殴りに降ってくる上、大型車が通るたび猛烈な風圧と水はねが襲ってきたのです!


こういう時折りたたみ傘ではひとたまりもなく、何度もパラボラアンテナ状態になりました。トラックやバスとすれ違うたび立ち止まって傘を車道側に向けます。しかも途中で歩道が途切れて反対車線側に続く場所も。左右を確認し、猛ダッシュで国道を渡りました。


もう半泣き状態です。戻ろうにも見晴学園前から随分離れてしまいました。どうせ倒れるなら前向きに倒れたい…「魔法の言葉」出た! もう考える気力も失せ、前に歩くことしかできませんでした。


20分ぐらい歩いたでしょうか。やっと集落らしきものが見えてきて、1つ三島側のバス停「笹原」に到着。人家や商店を見て再び気力が沸いてきました。


さらに下って「大曲」バス停まで来て思い出しました。この頃から既に本の編集作業が始まっていて、芸備書房店主より「扉絵に使うバス停の写真があればなあ」と言われていたのです。大曲なんて峠っぽい名前、いかにも旅情をかきたてられます。よし、このバス停の写真を撮ろう

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土砂降りの割には普通の曇りの日みたいに撮れました。本では白黒にしたのでさらにバレにくい(笑)


さらに下って大曲の次、馬坂口まで来ました。晴れていれば絶景が拝める上、バスと麓を絡めた写真も撮れそうですが、台風が接近しているときなので100%無理。(写真は馬坂口手前で撮影。これぐらいモヤってました)

08010409


もう少し歩こうかと思いましたが、ずぶ濡れになった体がだいぶ冷えてきました。このまま濡れ続ければ風邪をひく恐れも。この後沖縄へ行くのにそれはマズい。馬坂口からバスに乗ることにしました。


バスの時間まであと25分。しかもバス停は両方向とも吹きっさらしです。


最初は折りたたみ傘を差してバス停前に立ちましたが、暴風のため傘は何度もパラボラアンテナ状態になるし、雨は強くなるばかり。ふとバス停脇にある民家を見ると、台所の明かりがついていて、明らかにこちらの様子をうかがっています。このままでは不審者として通報されかねません。


「弱ったなあ」とあたりを見回すと、少し離れた場所にある、つぶれた喫茶店に小さな軒先がありました! やった、これで雨宿りができる!!! 天は我を見捨てなかった。


まさに猫の額ほどの小さな屋根で縮こまって待って、ようやくバスの時間になりました。やってきたのは三島駅から見晴学園まで乗ったのと同じバス! ちょうど元箱根で折り返して来たのです。オレンジ色の車体が見えた時、思わず「よっしゃあ」と叫んでしまいました。これで街に帰れる。もううれしくてうれしくてたまりませんでした。


さっき見晴学園で降りた客が馬坂口から乗ってきたもんだからウテシは思い切り怪訝な表情。でも、もうそんなことどうでも良かった。バス車内はとっても暖かくて、生き返った思いでした。


ワイパーで勢いよく雨をはじきながら20分ほどで三島駅に到着。気持ち的には「生還した」ですね。箱根への峠からの写真は撮れませんでしたが、どうにかこうにか補足旅の目的を果たすことができました。




三島から品川まで「こだま」に乗車。だいぶ台風が近づいてきていたので運転見合わせになったらどうしよう、と不安もありましたが、定刻通り品川到着。池袋駅からまたずぶ濡れになって、ホテルに着きました。うん、よく頑張った。


というわけで、本製作にあたっての補足旅「バス旅本への道」はここまで。この翌日、(当時)オープンしたばかりの鉄道博物館へ行って羽田から沖縄へ飛びました。そう、「日本の最南端で都営バスに乗る」につながるわけです。というわけで、次回、鉄道博物館訪問の件を簡単にお話して補足旅余話を終えたいと思います。
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