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ゲリラ雪

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下道(かどう)会総裁が「よしなしごと」をゲリラ雪のように、書くときは大量に、書かないときは放置気味に記します

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北海どう(道)でしょう20 

「じゃあ行きましょうか」。指導ウテシに促されて運転席へ。ブレーキレバーを受け取り、ガチャンと差し込むと一気に緊張してきました。エンジンを始動、色々なスイッチをオン、デッドマンに左足を乗せます。あ、デッドマンとは運転士が気を失うなど異常事態が起きたとき列車を止める保安装置。銀河線ではデッドマンのペダルを踏み、足が離れると作動する仕組みです。最後に軽く警笛を鳴らして準備OK。


全神経を左手に集中。意を決してマスコンを動かします。ガガガガとエンジンが重々しくうなり声を上げた次の瞬間…

08102121

動いた!!


ホームの柱がゆっくりゆっくり後ろへ流れ始めたのです。さらにノッチを刻むと車両は速度を上げ、ホームの屋根から太陽の下に躍り出ました。体験運転なので時速15kmまでしか出せませんが、それでもかなりのスピード感。少しずつ小刻みになる線路の継ぎ目音に合わせて、胸の鼓動も早くなります。


踏切に近付いてきました。見ると、ボランティア?の女性が旗を持って待ちかまえています。踏切を渡る地元の人が列車にひかれないよう見守っているんですね。


「そろそろブレーキ」「はい」。ウテシが手を添えてくれブレーキ動作。キーっと甲高い音が響き、車両がブルブルと揺れます。最後にカクン、ズゥーンとした感覚があって止まりました。思わず「ふう」と息を吐きました。「ちょっと手前だったなあ」。確かに停止目標が正面窓からギリギリ見えます。「じゃあ反対向きに行きましょう」「はい」。スイッチの切り替え忘れを指摘されながら、ブレーキレバー片手に反対側運転席へ移動です。

08102122

構内の端から端まで500m。見た目意外と離れています。


さっきより少しだけ勢いよくマスコンを操作。駅舎へ向かって少しだけ軽快に動き出しました。今度は手を添えてもらわずにブレーキ操作します。ホームの屋根が途切れるあたりで右手でブレーキレバー引き停車。上手くいったような気もしましたが、「もうちょっとだなあ」。停止位置からちょっとずれました。


「いやあ、やっぱ難しいですねぇ」
「なかなか上手くいかないよ。お医者さんもサラリーマンも記者もみんな夢中になる。きょうも午後の回には3度目のリピーターの人がいるんだよ。こないだ取材に来た北海道新聞の記者さんもうれしそうに運転してたよ」
指導ウテシも慣れてきたのか、「北の国から」で聞いたような北海道なまりが出てきました。


でも運転になると昔の血がよみがえるんでしょう。次で早くブレーキをかけてしまったら、「何でそこでブレーキをかける」と少し強い口調になりました。見習いウテシを指導するときはこんなんだったんじゃろうなあ。職人の顔がのぞきます。


「時速15kmでも大概速く感じるんですけど、普通の列車だともっと速いんですよね? 怖くなかったですか」
「昔は『おおぞら』(札幌-釧路の特急)を運転して130kmとか出してたけど、そうでもなかったよ。15kmで止まる方がかえって難しい。60kmぐらいの方が簡単」
「そんなもんなんですか」


そしてその次でやらかしてまいました。オーバーラン。「間に合わないかもなあ」。少し遅れたブレーキ操作を見て指導ウテシがポツリ。案の定でした。マニュアルには書いていないバックのやり方を教わって恐る恐る後退。停止目標をまっすぐ見据えながらでしたが、それでも後ろ向きだとなかなか上手く止まれません。


ボランティアの人に見られたバツの悪さもありました。反対側の運転席に回って発車するときごくごく軽く警笛を鳴らしました。と、指導ウテシがひと言。「もっと景気よくならしていいよ。陸別も寂しくなっちゃったからさあ」。ハッとしました。


目立った観光地がなく冬場は極寒に包まれる陸別にとって、列車の汽笛は他の街とちゃんとつながり、街が生きてる証しだったのです。ふるさと銀河線廃止は陸別町が最後まで反対したそう。この500mの鉄道は陸別のあすへの期待を一心に担っているのです。右足の汽笛ペダルを思い切り踏み、左手を前に、マスコンを勢いよく動かしました。


より真摯な気持ちで列車と向かい合ったからでしょうか。ふわっと停止すると、指導ウテシがうれしそうに「おお、ぴったり。見てごらん」。乗務員室の横窓をのぞくと、ちょうど停止位置に止まっていました。「いやあ、こんなにぴったり止まれるなんて。プロの運転士でも年にそんなにないことなんだよ」。きっと見習い運転士が上手くなったとき、こんな顔をされたんでしょう。


その後も指導ウテシが1年前に広島・山口をツアーで訪れ「広島とか山口ってトンネルが多いよね」なんて思った話を聞きました。ほかの運転体験ではできない貴重な作業をして(内容は秘密)、タイムアップ。「どうぞまた来てください」。最後に記念写真を撮っていただいて、人生初の運転体験は終わりました。体が少し熱くなっていました。

08102123

「思ったことがあったら何でも書いてください。例えば分線(駅)まで延ばしてほしいとか」。指導ウテシの本音を少し聞きながら受け取ったアンケート用紙に記入。改札から出ようとしたら、もう次の人がレクチャーを受けていました。80kmをクルマで通勤している指導ウテシさん、どうぞお元気で。また来ます。
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