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ゲリラ雪

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下道(かどう)会総裁が「よしなしごと」をゲリラ雪のように、書くときは大量に、書かないときは放置気味に記します

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北海どうでしょうⅡ 22 

「じゃあ、あすは9時にフロントで待ち合わせしよう」。部屋の前で好象と別れ、プランを練り直しました。当初計画ではきょうは稚内に宿泊。翌朝バスで宗谷岬へ行き、稚内空港13:45発の関空行きに乗る予定でした。あさっては休みで、3日後は午前中から仕事です。仕事のことを考えるとあさって中には広島に帰っておきたい。


まず飛行機。できれば1日後にずらしたい。今回はマイレージカードの特典航空券を使っています。前日まで買える割引航空券「特割」だと変更が一切利きませんが、特典航空券は特割より格上扱い。大丈夫だろうと思っていました。ホテルの部屋にワイヤレスLANが来ていたので、持ってきたノートPCで検索。


ダメでした。変更は4日前までらしい。となると、予定通りの便に乗らないとイチから全部航空券を買い直すことになります。稚内-関空便は前日まで買える「特割1」の設定がなく、普通運賃だと45000円以上! これに稚内での宿泊代も入るので5万円以上の出費になります。それはさすがに無理。格安運賃の設定があるほかの路線も調べましたが、最低でも3万円はかかります。


計画通り稚内-関空便に乗る。厳しい選択でした。心が揺れました。地縁がない街で廃車の段取りや、トランクに積んだ大量の荷物を送る手続きをしなければならない好象は心細いはず。ワラにもすがりたい思いでしょう。でも、経済的にも時間的にも自分の滞在を伸ばすのはしんどい。幸い事故当日というヤマは越えています。好象、ごめん。ワシ帰る。電話でそのことを告げると好象も分かってくれました。ありがとう。


次に名寄から稚内へ行くJRを調べました。飛行機に間に合うのは名寄7:50発の普通列車だけでした。南稚内11;26、稚内11:30着で、空港行きバスは稚内駅前ターミナル12:35発です。稚内市街-宗谷岬は片道30kmで、空港は市街地より少し宗谷岬寄りにあるのでタクシーなら往復可能ですが片道1万円近くかかります。何より総裁としてはバスで行かないと意味がない。


宗谷岬行きがついえました。色んな思いが交錯しました。でも次の瞬間、アタマがパッと切り替わりました。本当に電流が走った感じ。


「また来よう」 オロロンライン、オホーツクラインと豊富温泉には行きました。でも紋別の流氷も抜海のゴマフアザラシも見ていない。一度行きたいと思っていた旧深名線沿線を巡ってないし、カントリーサインマグネットも抜けが多い。まだまだ道北を満喫しきれていないのです。宗谷岬はもう一度この場所を訪れる原動力になります。そう、神様がもう一度道北を訪れるチャンスをくれたのです。


そう考えると不思議と安らかな気持ちになりました。




6時に起きて身支度。簡単に朝ごはんを食べて出発です。好象にもう一度謝ってからホテルを出ると小雨。もう冬の肌寒さです。小さな街ですが、駅前通りにはポツポツと人が歩いていました。名寄駅舎は1927年築。どっしりとした構えは、雨にたたずんでいる方が絵になる気がしました。そういえば、前回はここで広島支部長と合流(このへん参照)。なにげに再訪です。


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旭川行き快速と稚内行き普通列車が到着・発車する時間帯。待合室はベンチがほぼ埋まる盛況ぶり。もう改札が始まっていたのでホームへ行くと、跨線橋出口に高校生たちがたまっていました。旭川からやってきた列車は予想通り1両編成。人いきれで窓がくもり、立ち客も結構います。通学時間帯のローカル線って都会以上に混むんですよね。幸い名寄で高校生が一気に降りたので何とか席を確保できました。


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少し蒸し暑い車内。ハンカチで汗をぬぐい向かいの席を見ると、リュックサックを背負った初老の男性が座っていました。「第二の人生」を鉄道旅で楽しんでます!なオーラ。ヲタとは違って紳士な印象を受けたので声を掛けてみました。「どちらから来られました?」


筋金入りの「鉄」の方でした。大阪から18きっぷ主体で北海道入りしたそう。Excelで作った行程表を拝見すると駅、時刻、列車番号はもちろんのこと、宿を予約したときに電話応対した人の名前までしっかり書いてありました。対応した相手の名前を控えるのって社会人の基本の「き」ですが、趣味の旅では忘れがち。長いこと会社勤めした人なんだなとあらためて思いました。


サラリーマン時代は鉄道旅をしたくてもなかなかできなかったそう。ヨーロッパへ出張したとき、取引先を観光案内するという名目で乗り鉄をしたのが一番印象に残っているとか。その分定年後は鉄三昧。18きっぷで修行に近い旅をする一方で、奥さんをなだめるため、鉄初心者でも楽しめるプランを組んで連れ出したりしているそう。今回は独り旅。きょうは天北線の廃線後を歩くつもりで、「雨が止まんかなあと思うてんねん」。


と、かばんから市販の鉄道地図帳を取り出されました。ページを開くと書き込みがびっしり。一番のオススメは羽越本線の「笹川流れ」(新潟県村上市)。南下する上り線はトンネルばかりを通るので、北上する下り線じゃないと絶景をじっくり拝めないらしい。このほか、朝ラッシュ時に広島駅で山陽本線→芸備線に乗り換えようとしたら自分とは逆方向の人並みに阻まれた話、往年の天北線がにぎわっていた話…たくさんの思い出を聞かせていただきました。


トークが盛り上がり、音威子府まで本当にあっという間。雨はすっかり止み、朝日が差し込むようになりました。「これやったら歩けますわ」とご主人。天北線バスに乗るべく降りていきました。ありがとうございました。どうぞお気をつけて。




音威子府では20分以上停車します。そばをもう一杯食べられるかなと思いましたが、まだ開店前。のんびりとタバコを吸っていたら稚内側から札幌行き特急が着きました。前日豊富温泉で会った福山の女性が乗っている便です。ここで再会したらドラマですが、そんなことはなく、特急はガガガガと激しいうなりとともに発車しました。


ここからは再び一人旅です。雨でキャラメル色に染まった天塩川をのんびり眺めたり、本や新聞を読んだり。中高生のころはこうやってのんびり過ごすことが苦手でした。でも、25を過ぎてからは何とも思わなくなりました。年を取った証しなんですかねえ。


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薄めの文庫本をほぼ読み終わったころ、幌延に着きました。手作りっぽい看板が何ともいい味を出しています。


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豊富あたりからサロベツ原野にさしかかり、視界が開けてきました。線路は少し高い場所を走っているので、草が黄緑色のカーペットみたいに見えます。窓を少しだけ開けるとひんやりした風が入ってきました。響くのは風を切る音と、ゴトンゴトンという列車の響きだけです。


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幌延から先はずっと無人駅が続きます。徳満に至っては駐車場の誘導員さんが待機するようなプレハブ小屋と簡易トイレだけ。そんな中、抜海は鉢植えがあって久々に生活の気配を感じる駅でした。


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ここまで山の遙か向こうにあった日本海がついに近付いてきました。いよいよ北海道のてっぺんにさしかかってきたのです。車内もそわそわしてきました。名寄以前から乗り通した人も結構おり、総裁以上に一つの旅路が終わる感慨にふけっているのでしょう。


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再び日本海から外れると、線路沿いの斜面に住宅地が。いよいよ最果ての街・稚内。都会に帰ってきたのです。名寄・美深以来見るまとまった集落。広い道路や大きな店が続々現れてきました。大自然っていいなと散々書いてきましたが、やっぱり人の営みを感じると落ち着きます。何だかんだいって街の人間なんだなあ。


もう1回道北へ行くつもりなので、名寄では南稚内までのきっぷを確保。南稚内~稚内=最北端区間を乗る楽しみは次回に残すことにしました。かつて「稚内駅」だった南稚内駅は駅員さんもいて、広島市内の可部線、芸備線の駅みたいな雰囲気。駅前は市街地のただ中で、ファーストフードや郊外店がたくさんありました。


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冬の気候が厳しく徒歩やチャリだと大変だからでしょう、稚内中心部のバス路線は下手な県庁所在地より充実しています。市内線は6時台から21時台まで15~20分に1本、ほかの路線も一部を除いて1~2時間に1本運行。南稚内駅~稚内駅は市内線の範囲内でJRの何倍もバスがあります。だからこそ南稚内で降りることにしました。


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バスはほとんど列車が来ない駅広場には乗り入れず、駅前を南北に貫く通称「バス通り」上に市内線「南駅前」バス停があります。郊外線は、バス通りより1本海沿いを走る国道40号を経由。合理的ですが公式サイトだけだとヨソモノにはなかなか分かりにくい。総裁もある方の旅行記BLOGを見て理解しました。ちなみに、バス通りを走って途中から国道40号に出る路線や、40号より海沿いの岸壁沿いを走る路線もあります。


そして宗谷バスのローカルルール2つ目が時刻表。市内線・南駅前バス停に貼ってある時刻表をよく見ると…


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違うバス停の時刻が載っているのです! 大黒3丁目は南駅前の1つ南寄り。天北線の時刻表同様(このへん参照)「この時刻の大体1,2分後に来るし、地元民なら分かるでしょ」という考え方なんでしょう。バス停ごとにいちいち時刻表を作るのが面倒くさいのは分かりますが、これは不親切。地元の人は「こんなもんだ」と納得しているかと思いきや…「稚内市地域公共交通総合連携計画」中の住民アンケート結果には、ちゃんと「全てのバス停留所の時刻を時刻表に載せてほしい」という声がありました。


また「何々線、何々バス停から何番路線に変わりますとの表示。その路線がどこを指すのか、稚内に住んでいてもわからない」という意見もありました。総裁のようなマニアが満足するバスにしろとは言いません。でも、せめて地元の人が使いやすい乗り物にはなってほしいとは思います。東急グループからファンド所有の会社になって少しでも良い方向に変わってほしいと思います。


しばらく待っていると市内線バスが来ました。広島では広電が大量に導入した日野ブルーリボン。赤いシマシマのバスなので、広島バス色の広電バスに乗るような、変な気持ちでした。平日昼間で頻発しているにもかかわらず、車内には4,5人乗っていました。「バス通り」は道道106号、あのオロロンラインの続きなんですが街中に入ってしまえば思った以上のヘロヘロ道。住宅街の路地を抜けていく感じです。


踏切を渡って少し高い建物が見えてきたら「次は稚内駅前」。時刻表上は「駅前通」となっていますが、バス通り経由だとこのバス停が駅の最寄りになるのでわざわざそうアナウンスするみたい。分かりやすいけど、やっぱり独特のローカルルールですよね、コレ。ここで降りました。


地図を見るとちょっと離れているような気がしますが、ドラッグストアの角からもう駅舎が見えました。そして根室に続いてここにもありました。ロシア語標識! 名寄とか豊富みたくローマ字表記の部分は何となく分かりますが、フェリーターミナルとかバリバリのロシア語部分は何と会書いてあるのか読めさえしません(汗)


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駅前は再開発工事中。駅舎の前には囲いが建っていました。どうまた来るんだから写真は今度にしよっと。中に入ると日本最北の駅そば屋さんがありました。その名も「そば処宗谷」。そろそろお昼時なので一杯いただくことにしました。


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スープカレーそばです。いや、駅そばスキーな方々のBLOGや旅行記を見ていると、天ぷらそばや月見そばなど比較的オーソドックスなメニューを頼まれているので、ちょっと個性を出してみようかと(笑) とろみとこくがあって美味しかったです。いなり寿司と合わせれば和風カレーライスとしゃれ込んでみました。


このお店、なぜか駅舎外にもカウンターがありました。寒い時期は外で食べるとよりおいしく感じられそう…北海道では無謀か。


空港行きバスまであと1時間。駅前周辺をぶらぶらしました。駅の横、「さいはて」なんて旅館がある通りを歩くと、すぐに宗谷バス駅前ターミナルがありました。宗谷バス本社とともにレンタカーの営業所を兼ねていて、雑然とした感じ。このへんのアバウトさ、総裁好みです。


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駅前ターミナルは2010年5月で役目を終えます。6月に駅前の再開発ビル1階に移転するそう。古き良き時代のたたずまいもあとわずかです。


そして、また稚内に来るとはいえここは外せません。線路が途切れる場所は全国各地にありますが、ここぐらい「終点」という言葉がふさわしい駅はないと思います。「南大山から続いた…」の文言がまた味わい深い。当Blogではまだ書いていませんが、総裁は2009年2月に西大山駅を訪問しました。それだけに看板の言葉にじいんときました。


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