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ゲリラ雪

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下道(かどう)会総裁が「よしなしごと」をゲリラ雪のように、書くときは大量に、書かないときは放置気味に記します

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いすみ鉄道から見えたもの 年末・東京行き9完 

最後に、今回乗ったいすみ鉄道について、健闘の要因と課題を考えたいと思います。

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一番印象的だったのは「線路の外」へ支援の輪が広がっていることでした。三セク鉄道は全国的に危機的状況を迎えていて、多くで運営会社、自治体が知恵を絞っています。しかし多くの活動は運営する側の枠内にとどまっていて、線路沿いに住んでいる人さえ巻き込めていません。


いすみ鉄道には地元の人を含む「応援団」がいます。利用者が使いやすいように駅をきれいにしたり、鉄道のイベントをサポートしたりしています。駅にある手製の看板や鉄橋のムーミン像などは団員がボランティアで作ったそう。また住民手製の腕木信号機には驚きました。○○列車などの貸し切りイベントも多い方だなと思います。地元側が手を挙げて始まった話もあるようで、昔からある、という強みが表れています。


そして「外からの収入」を上手く呼び込んでいます


まずネットの力を生かしています。公式サイトは、当初こそ前社長のイラストが残っているなど「大丈夫?」な内容でした。しかし現体制が本格始動してから、社長ブログはほぼ毎日、新着情報も頻繁に更新するように。特に社長ブログは新着トピックを詳しく解説したり、水面下の話をチラッと書いたりし、まるでいすみ鉄道の輪の中にいるような感覚になれます。PRが功を奏して、菜の花シーズンには相当な数のお客さんが訪れたようです。そしてここでも応援団やファンのサイトが一役買っています。


何かやってから新着情報への掲載にタイムラグがあります。単に「忙しくて手が回らない」「文面の決済に時間がかかる」みたいな話ではなく、ネットである程度話題になったところで公式発表を出すようにしているのでは、と勘ぐっています。もし本当に意図的なら上手いなあと。


次にグッズ・オリジナル商品の集中投入です。前社長(任期途中で職をぶん投げて千葉知事選に立候補)も「い鉄揚げ」などを売り出していましたが、現社長になってから加速度的に商品が増加。チョロQや記念硬券など大きなお友達向けの商品にこだわらず、ハーブティーやカレー、まんじゅう、ムーミンストラップなど、家族連れも買えて、ともすれば地域のお土産になりうるラインナップになりました。09年度の売店売り上げは2200万円と前年度比53.7%増となり、存続決定への原動力になりました。


房総は日光・鬼怒川、箱根、伊豆とともに首都圏から身近な観光地として賑わってきました。背後に抱えているパイが大きいもんだから、時代や趣向が変わってもまとまった数のお客さんが来ます。広島→東京バス旅の途中、何でもない週末に箱根を通過。その混雑ぶりに正直驚きました(このへん参照)


しかし「放っといてもそれなりに人が来る」は実はクセモノ。無理しなくても儲かるので、ともすれば時代を顧みない、旧態依然とした商売が成り立ってしまうのです。大学のゼミ合宿で銚子へ行ったとき、何か土産でもと駅前を物色して見事なまでにほしい物がありませんでした。「みやげ物がないなら自分たちで作ればいい」「とにかく何でも売ってみる」というアグレッシブさ他のローカル鉄道だけでなく、観光地も見習うべき姿勢だと思います。(枕木オーナー制度や駅のネーミングライツ、はては路線名まで売りに出している。写真は国吉駅構内に貼り付けられた枕木オーナーのネームプレート=一部加工)

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さらに、大きなお友達のハートもつかみました。2010年8月の臨時運行までJR大糸線で走っていたキハ52です。ちょっと丸っこくて愛嬌のあるフロント部、レトロモダンの風合いを感じる側面。総裁が生まれる前の、日本の鉄道が一番元気だったころの面影を残し、中高年には郷愁を若手には憧憬を抱かせます。これに乗るために大糸線を訪れた人もたくさんいました。


ネット掲示板は現社長の手法に否定的な意見が多いですが、キハ52購入については手放しで歓迎。「乗りたい」という書き込みが目立ちます。11年1月の撮影会は、直前にネットだけの告知でしたが、300人が集まりました。現社長は、運転席展望ビデオでおなじみパシナの社長も兼ねる筋金入りの「鉄」。マニア心を分かった上で細かいディティールまで気を遣って運行するようです。今年の菜の花シーズンはたくさんの鉄が訪れることでしょう。


役所といい距離感を築いている点も見逃せません。補助金はもらうけど、それ以上は頼らない。鉄路を守ろうとするとき、ともすれば「もっと行政の補助を」という話になりがちですが、公金は麻薬です。「努力せずにもらえる」というシチュエーションに慣れると利用者ではなく首長、議会の方ばかり見るようになります。そして骨抜きになっていく。三セク企業が経営危機に陥り再生計画を立てる…これは全国各地で繰り返される光景。その多くが再生計画を実現することなく消えていきました。甘い収支見込と「麻薬」に頼ってしまったせいです。


いすみ鉄道も補助金なしでは存続できない経営状況です。しかし、現社長は役所に頼るのではなく、上手く利用しようとしています。


Hi-hoタウン内「アノ人の触覚」というロングインタビュー(このへん参照)によると、社長公募の面接で出資自治体の市長に「年収が大幅ダウンになるけどそれでもいいのか」と聞かれ、「(1億円稼ぐのに2億円使う)中小企業の社長が年収700万円もらえることの方がおかしい」と反論したそうです。「将来的には、脱・第三セクターができればいいな」「市町に口を出させないで、お金だけ出してもらう」とも述べています。キハ52導入でも国交省に掛けあって補助金を確保できそうです。


そう、とにかく走り続けているんです。常に動いているから話題が尽きない=メディアに取り上げられやすい。応援ブログに書くネタもできます。常に動いているから組織が活性化する。今までまったりしていた中の人から見ると大変だろうけど、働きがいがあると思います。10年近く前、仕事がらみでしなの鉄道本社を訪ねたときもこんな感じでした。


ダイヤ面では、JR、小湊鐵道の便との接続はおおむねよく、あとは高速バス・路線バスとのつながりが良くなればよいなと思います。社長は「不便を楽しめる人だけ来てほしい」と度々述べています。いすみ鉄道内でのんびりするのは当方も大賛成ですが、いすみ鉄道に乗るまで・乗り終わった後が不便なのはちょっと残念。一部ダイヤを10分前後させればだいぶ改善されるだけにもったいないなと思います。


今後の課題はいかに補助金を減らして自立していくかです。収益面で予想以上の健闘をしているとはいえ、今後役所との関わりでポイントになる「いすみ鉄道再生会議最終報告」(2007年提出)が示した長期収支見込みを下回っています(毎度おなじみの「役所予測」なので怪しい数字ではありますが)。出資側には沿線でない自治体も含まれていて急に補助金支出をゴネる可能性もあります。もちろん沿線であっても首長が変われば予断を許しません。北近畿タンゴ鉄道の一部廃止議論や、井原鉄道が上下分離方式を採用するときに一部自治体が補助を出し渋った事例は他人事ではないのです。


今やっている取り組みに賞味期限があることは社長自身も自覚しているようです。キハ52に続くサプライズは何か。楽しみです。




【後日補足】


キハ52について、総裁は車両運送費と微々たる塗装費用ぐらいのお金=数百万円レベルで済ませるのだろうと思っていましたが、実は総額3000万円かけるんですね。1000万円単位のプラスマイナスが大きな意味を持つ会社では、存亡をかけた賭けといえます。そうなるとちょっと話が変わります。多分3000万円分もペイしませんぜ。いくらたくさんの人が乗りに来ても車両定員が限られています。


あと、一時話題になった自費養成運転士さんたちは全員学科試験や実技試験で落ちたそう。社長がブログで述べているように本人の努力が足りなかったのか、サポート体制がお粗末だったのかは分かりません。ただ、あれだけ雄弁な社長ブログでこの点を一切触れずに第2期生を募集している点は非常に問題だと思います。総裁の知人に鉄道運転士がいて試験の話を聞いたことありますが、そこまで落とされる内容ではないそう。


うーん。これも広報戦略の勝利なのか。
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